「終わらざる夏」<下編>読了
2025年 01月 12日
去年の8月から読み始めた浅田次郎さんの小説「終わらざる夏」。
半年かけて、やっと長い「夏」が終わった。
下編に入ると、
ひんぱんにロシア人(ソ連の兵士)が登場するようになる。
彼らがどんな人生を歩み、
なぜ極東へと送られ、日本軍と戦うことになったのか、
彼らの人となりや、運命が語られる。
死にゆくソ連兵の目を通して、登場人物の最期の様子も語られる。
ソ連の参戦、
占守島での戦闘へと、
話はどんどん進んでいき、あっという間に読み終えた。
激戦後、生き残った兵士たちを待ちうけていたのは、
故国への帰還ではなく、
過酷で残酷なシベリア抑留の強制労働の未来であり、
寒さと飢えと過酷な労働の中、
弱い者から死んでいったという事実が、
登場人物の一人である軍医を通して語られる。
絶望の中、死を選ぼうとする軍医。
彼を引き留めたのは、占守島で戦死した3人の「遺品」であった。
中でも、鬼熊と呼ばれた屈強な兵士の書き残した「母への手紙」は、
一人残される年老いた母への思いが、朴訥な筆致で書かれており、
読んでいて胸が詰まった。
私自身、ほとんど知ることのなかった終戦後の
千島列島・樺太で繰り広げられた戦い。
戦争は終わったというのに、
おびただしい血が流れ、何千人もの命が消えていった。
舞台となった北の小さな島・占守(しゅむしゅ)島。
千島列島の他の島々と違い
この島だけ緩やかな丘が続いているという。
霧に閉ざされることの多いこの島の、短い夏を惜しむかのように、
草原のあちこちに、小さな花々が咲き乱れる。
登場人物の片岡が「妻と一緒に来て、妻に見せたい」と言っていた花々。
少年兵がノートの中に押し花として遺していた花々。
それは、
ひとりひとりの命の輝きを表すかのようであり、
また、
運命に翻弄され、はかなく散っていった者たちの魂を表しているかのようで、
あまりにも美しく、あまりにも気高く、あまりにも切ない。
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1月2日(木)に中編を読み終えたときの記事を貼っておきます。
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by akanesasu0124
| 2025-01-12 05:58
| 読み物・本
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