人気ブログランキング | 話題のタグを見る

    「終わらざる夏」<下編>読了

    去年の8月から読み始めた浅田次郎さんの小説「終わらざる夏」。

    半年かけて、やっと長い「夏」が終わった。


    下編に入ると、
    ひんぱんにロシア人(ソ連の兵士)が登場するようになる。

    彼らがどんな人生を歩み、
    なぜ極東へと送られ、日本軍と戦うことになったのか、
    彼らの人となりや、運命が語られる。

    死にゆくソ連兵の目を通して、登場人物の最期の様子も語られる。


    ソ連の参戦、
    占守島での戦闘へと、
    話はどんどん進んでいき、あっという間に読み終えた。


    激戦後、生き残った兵士たちを待ちうけていたのは、
    故国への帰還ではなく、
    過酷で残酷なシベリア抑留の強制労働の未来であり、
    寒さと飢えと過酷な労働の中、
    弱い者から死んでいったという事実が、
    登場人物の一人である軍医を通して語られる。

    絶望の中、死を選ぼうとする軍医。
    彼を引き留めたのは、占守島で戦死した3人の「遺品」であった。

    中でも、鬼熊と呼ばれた屈強な兵士の書き残した「母への手紙」は、
    一人残される年老いた母への思いが、朴訥な筆致で書かれており、
    読んでいて胸が詰まった。


    私自身、ほとんど知ることのなかった終戦後の
    千島列島・樺太で繰り広げられた戦い。

    戦争は終わったというのに、
    おびただしい血が流れ、何千人もの命が消えていった。

    「終わらざる夏」<下編>読了_f0338114_05380294.jpg
    Weblioさん「北千島」の地図より(↑)





    舞台となった北の小さな島・占守(しゅむしゅ)島。

    千島列島の他の島々と違い
    この島だけ緩やかな丘が続いているという。

    霧に閉ざされることの多いこの島の、短い夏を惜しむかのように、
    草原のあちこちに、小さな花々が咲き乱れる。

    登場人物の片岡が「妻と一緒に来て、妻に見せたい」と言っていた花々。
    少年兵がノートの中に押し花として遺していた花々。

    それは、
    ひとりひとりの命の輝きを表すかのようであり、
    また、
    運命に翻弄され、はかなく散っていった者たちの魂を表しているかのようで、
    あまりにも美しく、あまりにも気高く、あまりにも切ない。


    *****************************

    1月2日(木)に中編を読み終えたときの記事を貼っておきます。



    にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
    にほんブログ村
    by akanesasu0124 | 2025-01-12 05:58 | 読み物・本 | Comments(0)

連絡先 nae0124@gmail.com


by akanesasu0124